北隆鉱山は北海道北見国紋別郡雄武町に位置した鉱山です。
日本鉱業株式会社により稼行されていました。
北隆鉱山の概要
北隆鉱山は北海道北見国紋別郡雄武町に位置し、国鉄興浜南線の終点である雄武駅の西南西方向16km地点で、音稲府川の上流に有りました。

鉱区情報は以下。
鉱区番号:北見国採登324号
鉱種:金・銀
鉱業権者:日本鉱業株式会社

北隆鉱山は北海道庁の職員で有った瀬川良作氏の弟が、陸地測量の為に山中に入った際に拾った石を瀬川良作氏に見せたのが発端で、大正7年に瀬川良作氏が現地を訪れて、鉱物の入った転石を発見したのが鉱山発見の始まりとされています。同年に瀬川氏に依頼された久原鉱業関係者の小松健太郎氏が探鉱を行うも、有望な鉱床を見つけることが出来ず、細々と探鉱を継続していました。
大正11年に雄武の奥地にて山火事が発生すると、白橋長三郎氏と鈴木啓三郎氏が北隆の山を訪れて、火災で現れた焼石や鉱石の破片を持ち帰り、それが含金銀鉱石であることが確認された。この火災後は各地で草に埋もれていた転石が露出したとの事である。
大正11年瀬川良作氏が細脈を発見し、20尺の坑道を掘ったところ高品位の鉱石を発見した。
翌11年に瀬川良作氏は久原鉱業株式会社と、「鉱床を発見出来たら久原鉱業に売山し、発見できなかった場合には久原鉱業は瀬川氏に返還する」という内容で、探鉱契約を結んだ。
大正15年には瀬川氏と久原鉱業の間で正式な探鉱契約が成立した。
昭和2年に久原鉱業とその後身の日本鉱業株式会社が権利を譲り受け、翌昭和3年から事業を拡大していった。
採掘した鉱石は元稲府海岸までの間に敷設された、鉱山専用軌道によって運ばれ、船によって大分県の佐賀関製錬所に運ばれた。昭和10年5月には北隆鉱山に精錬所が完成したので、鉱山内で製錬迄行えるようになった。
昭和13年には製錬後の鉱滓を処理していた沈殿池から汚染された水が流れ出たことにより、雄武漁業協同組合や紋別鱒蕃組合から、漁業に多大な被害を発生させているとの訴えがあり鉱毒問題となった。その後、網走支庁長の仲介により北隆鉱山は雄武漁業協同組合に23,000円の事業資金を寄付することで問題は決着しました。
その後は昭和16年まで操業し、金山整備令により昭和18年に休山となった。
鉱山の労働者は最盛期には500人近くとなり、鉱山の周辺には社宅、病院、小学校、郵便局なども出来た。社宅は上下水道設備が有り、電燈も無償で貸し出しされたとのことです。

北隆鉱山の鉱床
主な露頭は1号露頭とC脈露頭があり、1号露頭の脈幅は0.35m、C脈露頭の脈幅は0.50m。
主要は鉱床は、1号𨫤、2号𨫤、3号𨫤、4号𨫤、5号𨫤、仮3号𨫤、C脈𨫤、北星1号𨫤が有った。


鉱床の金属鉱物には自然金、輝銀鉱、濃紅銀鉱、四面銅鉱、黄鉄鉱、酸化マンガン鉱。
昭和41年までの坑道総延長は22,648m。
昭和41年までの産出量は金2,924kg、銀11,268kg。
採掘は上部から30m間隔で1号坑から10号坑までの水平坑道が開坑された。
各坑道は竪坑と坑井により連絡していた。

1号𨫤
走向延長400m、傾斜延長240m、平均脈幅0.35m。
露頭より380mの深さまで開発された。
金の品位は30g/t、銀の品位は100g/t
鉱脈は2本有った。
2号𨫤
走向延長80m、傾斜延長100m、平均脈幅0.35m。
金の品位は10g/t、銀の品位は44g/t
3号𨫤
走向延長150m、傾斜延長120m、平均脈幅0.20m。
金の品位は15g/t、銀の品位は93g/t
4号𨫤
走向延長120m、傾斜延長100m、平均脈幅0.15m。
金の品位は40g/t、銀の品位は90g/t
5号𨫤
走向延長150m、傾斜延長130m、平均脈幅0.20m。
露頭より190mの深さまで開発された。
仮3号𨫤
走向延長120m、傾斜延長120m、平均脈幅0.20m。
C脈𨫤
走向延長360m、傾斜延長270m、平均脈幅0.50m。
金の品位は20g/t、銀の品位は52g/t
露頭より340mの深さまで開発された。
北隆鉱山の歴史
古くよりこの付近では砂金堀が行われていた。
1918年(大正7年)札幌の瀬川良作氏により鉱山が発見される。
1926年(大正15年)日本鉱業株式会社により探鉱契約が行われる。
1927年(昭和2年)日本鉱業株式会社が鉱山を買収して稼行を開始する。
1934年(昭和9年)大規模な精錬所を着工。
1935年(昭和10年)青化精錬所が完成し、80t/日の処理量。
1939年(昭和14年)精錬所の処理量が110t/日に拡張される。
1943年(昭和18年)金山整備令により休山する。
参考資料『日本の鉱床総覧』『銃後後援事例集 : 附應召遺家族奮鬪事例 第1輯』『雄武町の歴史』『北海道地下資源調査資料 (92)』『近代北海道史研究序説』

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